フィン・ユール アート・ミュージアムクラブの活動の一環として、かねてから構想していた北欧へのデザインツアー。
そのツアーが先月半ば、クラブ内にて希望者を募って実現できましたのでご報告します!
ツアーのメインイベントとなったのが、デンマーク王立オードロップゴー美術館が管理するフィン・ユール邸見学。
私たちが建設を目指す本物のフィン・ユール邸を体感して、FJCの活動をご存じの美術館館長 アネ-ビアギッテ・フォンスマークさんとの会談も行うことができました。
私がフィン・ユール邸を訪れたのは、実は2回目。一度、高山に建設するフィン・ユール邸の計測調査に来ています。
ただ、今回は夏に来られたことで、緑がまぶしく、自然と調和するフィン・ユール邸を見ることができました。
手入れされた庭の情景をインテリアに最大限取り込む思想が、フィン・ユール邸、そして街全体に広がっている。
彼の建築は、前衛的でありながらしっかり街に溶け込んでいる様子を再認識しました。
ただ、住宅として設計され、建造された家が美術館になってしまったことには、少し寂しい想いもあります。
この自邸は現在、建築家であり家具デザイナーでもあったフィン・ユールの思想、そして彼の作品を見ることができる公共の場ですから、彼が目指したカジュアルさ、寛ぎ、団欒、温かさ、訪れやすさといった居住環境を感じることが難しくなっている部分はあるようです。
現在の建築でも参考にされる名作建築のひとつですから、一般に広く公開することも重要ですが、彼の建築のような、建物だけでなく家具やインテリを含めた全体が与える印象がひとつの芸術となっているこの家には、一般公開は不向きなのかもしれません。
家のなかで、暖炉の炎を眺めながらゆったり寛いだり、庭を眺めたり、来客者を招いたり、そんな使われ方が一番似合う建築であると感じています。
美術館館長アネ-ビアギッテ・フォンスマークさんとツアー参加者
緑の中に佇むフィン・ユール邸最新写真